誰が・どこで・何を言ったか

2026年8月27日、ひろゆき氏が自身のYouTubeチャンネルで配信した3時間超の雑談枠。このサイトでは新党を扱う30分ほどの区間を収録している。視聴者からの質問に答える形で、政治団体という器そのものの話が続いた。

結成から1か月、報道は「妻の反対」「公約の罰則」に集中してきた。この回で本人が説明したのは、その手前にある事務的な事実である。そしてその事実は、報道の前提をいくつか崩している

政治団体は、日本に4〜5万ある

ひろゆき氏は配信中に視聴者へクイズを出した。日本に政治団体はいくつあるか。回答は50から11451まで割れたが、本人の答えは4万から5万だった。東京都や各県の選挙管理委員会に登録されているものを合わせた数である。

運営者が確かめたところ、この桁は正しい。政治団体は主たる活動区域に応じて総務大臣への届出と都道府県選挙管理委員会への届出に分かれており、合わせると5万団体を超える。本人の見積もりはやや控えめだった。

そのうえで、設立のハードルをこう説明している。

だから設立そのものは特別なことではない、というのが本人の整理である。

政治団体を作りましたっていうのが、なんかすごい影響力のあることだと思いがちなんですけど、実はいろんな人が作れる

メリットもデメリットも、ほとんどない

では作ると何が得なのか。ひろゆき氏の答えは「ほぼ何もない」だった。

できることは、政治団体名義で口座を作ったり契約したりすることが表向きは可能になる、という点にとどまる。実質的には、代表者の個人口座に団体名が付くだけで、法人口座のようには扱われない。サークルの会計口座と同じ構造だという説明だった。

税制上の優遇については、国会議員が所属する国政政党とそれ以外で扱いが分かれると述べている。国政政党でない政治団体は、パーティー的な形で金を受け取っても普通に所得税がかかる。したがって——

国会議員が所属している国政政党と呼ばれるもの以外の政治団体は、作ったとしてもメリットはありません

デメリットも大きくはない。毎年の収支報告書を出す義務が「めんどくさいぐらい」だという。

なお、公職選挙法との関係についても整理があった。選挙に出ると決めた場合は、テレビ番組など中立性が求められる仕事に出られなくなる。特定の候補者を電波で優先的に扱うことになるためである。しかし政治団体を作るだけなら公職選挙法には触れない。本人が選挙に出ていない以上、メディア出演が選挙に影響するという構図にならないからだ、と説明している。

誰を入れて、誰を入れないか

参加資格については、時間軸を二つに分けて語った。

長期的には、誰でも受け入れる。理由は「政治団体だから」である。

政治団体というのは日本人全員の味方になるべきだと僕は思ってるんですよ

自民党であれ立憲民主党であれ、自党に投票していない人のためにも国を運営しようとするはずだ、という論法を取った。そのうえで、過去に「こういった方々は排除します」と述べた首長がいたことに触れ、「排除とかないでしょ」と否定している。

ひろゆき氏は名を伏せたが、これは2017年9月29日、東京都知事だった小池百合子氏が希望の党の代表として記者会見で述べた「排除いたします」を指すとみられる。民進党からの合流希望者のうち基本政策で一致しない者は受け入れない、という趣旨の発言で、党の失速を招いたとされ、本人も後に「きつい言葉だった」と釈明している。新党が最初に否定した先例が、直近で同じことを試みて失敗した政党であるという構図になる。

短期的には、線を引く。懸念しているのは、政治家に戻りたい落選者が集まってくることだった。

結論として、短期的には政治家以外の人たちと組みたいという方針を示した。

運営者コメント

この回の効きどころは、「政治団体を作った」というニュースの価値を本人が自分で下げていることにある。4〜5万ある器のひとつを、書類一枚で作った。それ自体は何の権限も生まない。

そう考えると、報道が追いかけてきた争点の位置も変わってくる。設立が軽いのだとすれば、この構想の重さは公正証書で首長を縛る仕組みの側にしかない。器ではなく、器に何を積むかである。実際、本人が繰り返し説明してきたのもそちらだった。

もう一点、参加資格の線引きは今後の火種になり得る。「長期的には誰でも」と「短期的には政治家以外と」は、候補者公募が始まる10月以降に必ずぶつかる。落選経験のある候補者を実際にどう扱うのか、公募の要項がその答えになる。

※本記事は上記動画の内容を運営者が独自に要約したものです。正確な発言は必ず元動画でご確認ください。政治団体数は総務省および東京都選挙管理委員会の公表資料、「排除いたします」の経緯は当時の報道に拠って確認しました。